日大アメフト部の事件。 勝負事に疎いワタシも、タックルした選手の会見には驚きました。普通、逃げて声明文出して終わりだったりするものだもんね。
ネットで探して見た会見は、本当に胸を打つもので、いろんな周辺事情も分かり、あの会見だけで事件の全部がわかっちゃうくらい清廉潔白に告白していました。 関西大学院サイドや、市議を辞して生涯取り組むという親御さん、いろいろな立場での会見を一気に見て感じるのは、スポーツ界特有の清々しい態度、若い選手たちへの愛。「スタンドプレー扱いされたままでいいのか?」と宮川選手にさえ想いを馳せる小野ディレクターの懐の大きさ。
それに対して日大・監督の、声明・会見をすればするほど深まる卑劣さ。何度もチャンスがあるのに、どうして1ミリも信用を回復できないのか不思議になるほど。腐敗しきってる。こんな環境の下で、若い清らかな心が汚されていったんだね。
スポーツマンシップと監督の追い込みの間で悩み、追い詰められた宮川選手が、『考えられないほど大きな違反行為』へと走りだした瞬間どんな心持ちだったんだろう。日夜鍛錬してきたこの腕は、この足は、ライバル校の選手に怪我をさせるためだったのかという葛藤。闇へ落ちる自分を自覚しながら、それでもそうするしかないんだという心細い想い。心中を察すると涙がこみ上げます。
監督という立場にいながらヤクザのようなやり方。名門大学という看板をしょっていながら学生を守るどころか切り捨てようとする日大。これが私たちの作った教育機関なのですか。今回は日大だったけど、他にも同じような人、上司、教育機関、会社、あるんじゃないかなぁ。PTA会長という立場にいながら子供をあやめる人の事件もありました。
本当に肩書きや年齢や看板じゃなんにもはかれないって事を、子供達にはちゃんと伝えていきたいなと思います。言動行動をよく見て、信用していいかどうか見極めて、自分の身を自分で守っていかないとなりません。大人としてこんな事をいうのは情けないけどね。
選手(後輩)をむやみにコントロールしたいとか、自分の出世・虚栄心のための言動行動する人は、少なからずいます。その人も、上からコントロールされていて、また、自分のエゴにコントロールされてる人。 人はなんぴとも尊厳を持ち、誰をもコントロールしてはならないし、されてもなりません。 上司(監督)の言うことはオカシイと思っても黙って聞け。なんて軍隊式はもう終わりにしたい。 疑問があったら、後日でもいいからぶつけてみるべきで、それに答えられない上司(監督)は信用できない人と見切りをつけたほうがいいんじゃないかな。選手(後輩)を本当に育てようとしているなら、ちゃんと答えられるはずだから。何を考えているか、何を感じているか、聞いてくれるのが大人の余裕だと思います。
今回は、内田正人前監督・コーチが異常なまでのヒトデナシですが、日本中が「大学とは?」とか「スポーツマンシップとは?」とか「若い世代を守るってどんな事?」とかいろいろ考える機会を作ってくれた反面教師でもあります。宮川選手・タックルされた選手はその舞台の相手役をかって出てくれたという訳です。
私たちが憎むべきは、そのエゴであって、役者さん達ではありません。善悪に分かれて誰かを憎むことは解決にならないばかりか、同じモノを引き寄せてしまうという事にもなりかねません。 ワタシもワタシの中にある「正義」や「守りたい」想いがいまだに反応してしまう若輩者で、下のような記事を探し出しては「宮川選手が少しでも情状酌量されますように 」と願う一市民ですが、本質は相手をとっちめることじゃなく、自分が同じ立場になったとき、同じ過ちを選択せず、相手を許すことを学ぶことです。 単に悪を糾弾するだけでは、宮川選手の想いが昇華されないものね←言い聞かせてる人
今後の捜査や刑事処分の見込み (抜粋)
前田恒彦 | 元特捜部主任検事5/24(木) 5:30
【傷害罪の成否】 「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」(35条) 試合中にルールの範囲内でタックルに及び、相手選手を負傷させたとしても、違法性がなく、処罰されることなどない。 しかし、今回のディフェンスライン(DL)の選手のように、パスを投げ終えて無防備な状態となっている相手チームのクォーターバック(QB)の選手に対し、その負傷欠場を狙い、故意に背後から激しくタックルをすれば、明らかに違法だ。 ルールに反するし、相手選手も競技中に起こりうる事態として承諾していたとは到底いえず、社会的に見て処罰に値する行為と評価されるからだ。
関西学院大学の選手は、フィールドに叩きつけられ、右膝軟骨損傷など全治3週間のケガを負った。 日大アメフト部員には、傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が成立する。
【実行犯に対する捜査と刑事処分】 次のような理由から、警察がこの部員を逮捕するとは考えにくい。
(1) 警察は全治1か月以上を重傷と評価しており、全治3週間だと軽傷の事件に分類される。
(2) 凶器を使っているわけではなく、犯行状況そのものも試合のビデオ録画により明々白々である。
(3) 記者会見という公の場で全国にその氏名と素顔をさらし、故意や動機、計画性、事件に至る心情、事件後の状況はおろか、前監督、コーチらの指示までをも赤裸々かつ全面的に自白し、深い反省の情を示している。
(4) 既に弁護士がついており、もし日大関係者らから水面下で口封じや口裏合わせの圧力を受けたとしても、これに屈しないばかりか、そうした圧力の存在すらも直ちに警察に通報すると期待される。
(5) これまでこの種の事件を起こしたことがない20歳の大学生である。
(6) 記者会見後、被害者側の関係者のみならず、社会もこの部員に強い同情を示しており、もし部員の逮捕という強権的な対応に出ると、今度は警察が批判にさらされる。
そこで、この部員については、在宅のまま取調べが行われ、時期を見て検察に送致されるのではないか(いわゆる「書類送検」)。
では、検察における刑事処分はどうなるか。 今回のケースの場合、何ら落ち度がない被害者に全治3週間のケガを負わせていることや、計画性が高いこと、犯行態様が危険極まりないこと、社会的影響が大きいことなどを考慮すると、通常であれば30~50万円程度の罰金刑を求める略式起訴は免れないだろう。
ただ、真摯に反省している上、既に相当の社会的制裁を受けたとも評価でき、次の2点次第では、起訴猶予による不起訴の目も残されている。
(a) 前監督・コーチによる具体的な指示の内容、それに従わざるを得なかった背景やプレッシャーの強烈さ
(b) 被害者側の処罰感情の緩和と示談の成否
【前監督・コーチの弁解と部員の供述】
とりわけ(a)の点は、今後の捜査における最大のポイントとなる。
事件が部員の単独犯か否か、すなわち前監督・コーチの刑事責任の有無ともリンクする話だからだ。
この点、遅きに失したとはいえ、部員の会見翌日に至り、ようやく前監督らも記者会見を行った。
しかし、ノラリクラリとした弁解を繰り返した上、その指示、特に相手選手にケガを負わせるような反則行為の指示を全面的に否認した。
むしろ、日大ブランドの凋落ぶりや危機管理能力の欠如を如実に示す司会進行役の不遜(ふそん)な態度が目を引く会見となった。
現に日大側も、部員とのコミュニケーション不足や言葉の受け止め方に対する意思疎通の乖離(かいり)などを挙げ、今回の危機を乗り切ろうとしている。
要するに、部員にそんな指示をしたつもりなどなく、部員が「潰せ」という比喩(ひゆ)の真意を誤解し、暴走した、という論理だ。
これに対し、部員は次のように述べている。
(コーチの発言) 「監督に、お前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、相手のQBを1プレー目で潰せば出してやると言われた。
『QBを潰しに行くんで僕を使ってください』と監督に言いに行け」
「相手のQBと知り合いなのか」
「関学との定期戦が無くなってもいいだろう」
「これは本当にやらなくてはいけないぞ」
(先輩を通じ)「アライン(選手の配置のこと)はどこでもいいから、1プレー目からQBを潰せ」
「相手の選手をどこでもいいから潰してこい」
「秋の関西学院との試合の時に備えて、QBがケガをしていたらこっちも得だろう」
(「リード(DLの本来のプレーのこと)をしないでQBに突っ込みますよ」と確認したところ)「思い切りいってこい」
「できませんでしたじゃ、すまされないぞ。わかってるな」
「キャリア(ボールを持っている選手)に行け」
(退場後)
「■■は自分にもやらせてくれと言ったぞ。お前にそれが言えるのか」
「お前のそういうところが足りないと言ってるんだ」
「優しすぎるところがダメなんだ。相手に悪いと思ったんやろ」
(前監督の発言)
(「相手のQBを潰しに行くんで使ってください」と伝えたところ)「やらなきゃ意味ないよ」
(試合後)
「こいつのは自分がやらせた。こいつが成長してくれるんならそれでいい。相手のことを考える必要はない」
「周りに聞かれたら、俺がやらせたんだと言え」
【前監督・コーチの刑事責任と捜査】 前監督・コーチは、部員による犯行後、直ちに注意したり引き下げたりしなかったばかりか、その後に繰り返された危険タックルをも放置し、退場後や試合後に至っても全く叱責しておらず、むしろそうした反則行為を当初から容認していたと見られる。
また、部員の証言は、客観的な事実の流れにも合致している。
こうした前監督・コーチの発言内容が事実であれば、実行犯をそそのかした教唆犯となるか、共謀が認められて実行犯と同じ刑事責任を負うことになるかは別にしても、少なくとも傷害罪の共犯となることは明らかだ。
その場合、もし実行犯を罰金刑に処するのであれば、前監督・コーチにも同様の処罰が必要だし、前者を起訴猶予にしたとしても、なお後者については起訴するに値する。
組織的な犯罪の場合、トカゲの尻尾切りに終わらせず、背後の黒幕まで処罰しなければ意味がないからだ。 いずれにせよ、事件後の一連の対応ぶりからして、日大はいざとなると自己保身に走り、学生を守らず、簡単に切り捨てる組織だということがよく分かった。
今回の部員に対しても、大学の秩序を乱したということで、いずれ退学や停学の処分を下すのではないかと懸念される。(了)
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